PC−26 購入顛末記(その1)


2005年5月12日
記事: 神奈川担当 景山




中古艇と一口にいっても状態は色々です。
年式が新しく未だほとんど手直しをせずに乗れる艇から、既に10年以上が経過し、色々と手が掛かり始めているものまでさまざまです。
今回中古艇ドットコム サイト管理者の景山が平成2年式のPC−26を購入した事を機に、中古艇を購入してからの顛末記をコラムにしていこうと思います。

先ず最初にご理解いただきたいのは、船というのは維持していく上でそれなりに費用が掛かるものなのです。
勿論、新艇もしくはそれに近い状態のモノを購入された方は、部分的な初期不良を除けば手が掛かりませんし、また費用もメーカーの補償でカバーされる場合が多いと思います。
しかし、中古艇ドットコムにも比較的多く掲載されるバブル期からバブル崩壊直後辺りに新艇で発売された艇などは、既に進水から10〜15年近く経っていますので、購入後新艇同様に何もせずに使用出来るかというとそれは大きな間違いです。
艇によっては、前オーナーさんが大掛かりな整備や修理を行っている場合もありますので、100%とは言い切れませんが、大部分の艇は購入後何かしらの修理なり整備なりが必要になると考えます。
これは何も個人売買の場合だけでは無く、通常のショップさんで購入された場合でも、やはり10年選手の艇はそのままメンテナンスフリーで乗れるものではないのです。

中古艇ドットコムの担当者として見学などに立ち会っていると非常に強く感じるのですが、例えそれが15年落ちの古い艇であれ、価格が相場よりはるかに安い艇の場合であれ、多くの方があれこれ細かい故障箇所やキズを挙げ連ねる場面にたまに出会います。
中古艇の購入は、100%完璧なものを購入する訳ではないと理解し、「この状態のこの艇」を「この価格で購入しても良いか?」という判断基準で考えていただけると良いと思います。
この辺の考えは「コラム 中古艇個人売買考察」で私の考えを書いておりますので、ぜひお読み下さい。

さて、本題に戻ります。
今回私が購入した艇は前述のように平成2年進水のヤマハPC−26U ディーゼル艇です。
エンジンはAD31の2機掛けで、現在の相場では個人売買で300〜350万円前後、ショップさんで350〜400万円程度だと思います。
この艇は当初四国エリアから出品があり、328万円で掲載を開始したのですが、オーナーさんが売り急いでおり、すぐにでも現金化したいとの事でしたので、掲載価格より安く購入させていただきました。

先ずは外装ですが、年式が年式ですので色あせなどはしょうがないと思いますが、しばらく乗られていないこともあり、船体全体がかなり汚れており、更に古さを感じる状態でした。
また、内装も掃除が行き届いていませんでしたので、各部ほこりをかぶり正直非常に汚い状態でした。
ただ1つ救いだったのは、前オーナーさん購入時にエンジンのオーバーホールを行っているとの事で、オーバーホール後100時間程度しか使用していないとのお話でしたので今回の購入に踏み切りました。
もっともこのオーバーホール自体は前オーナーさんがショップで購入された際に、ショップの方で行ったとの事ですので、オーナーさん自体は明細書を受け取っておらず、どこまでやったかは不明との事。
ただ、前オーナーさんの証言で「エンジンを開けているのは間違い無い」との事でしたので、「エンジンさえ大丈夫なら」と購入を決めました。

四国から関東に移送する前に、先ず最低限の整備は行っておこうと考え、もともと艇が置いてあった高知ロイヤルマリーナさんに整備をお願いしました。
ロイヤルマリーナさんで行った整備は下記の通りです。
◆オイルフィルター交換
◆Vベルト交換
◆インペラー交換
◆フューエルフィルター交換
◆ベローズ交換(排気)
◆ベローズ交換(ドライブ)
◆ペラジンク交換
◆トランサムジンク交換
◆追加ジンク取り付け
◆エンジンオイル及びエレメント交換
◆ギアオイル交換
◆船底塗装
◆ドライブ塗装
などを行いました。
ブーツ交換の際にはドライブも取り外したのですが、写真を撮ることが出来ませんでした。
悪しからず。

ペラ・ドライブ塗装前 ペラ・ドライブ塗装後

整備代は30万円ちょっと。
部品代だけで半分くらいの値段ですし、ずっと上架してあった艇ですので、船底塗装を塗るのは初めてだった為、船底の下地処理なども行っている事を考えると、上記の料金は格安です。
これは高知ロイヤルマリーナの小原さんを始め、皆様のご好意で、大幅ディスカウントして下さったそうです。
本当にありがとうございます。
非常に親切なマリーナさんですので、高知の方は何かありましたら、是非ともご相談下さい。

高知ロイヤルマリーナさんの連絡先
高知市横浜東町10−2
電話:088−841−3232

 
そして次に直面したのが輸送の問題。
普段中古艇ドットコムでお世話になっている運送会社さんに確認したところ、PC−26は26フィートとしては大型の為、通常のトラックでは運べず割高になるとの事。
輸送費は約25万円。
これでもいつものお付き合いがあるので、かなり安くして下さったようです。

上記の修理と並行して置き場の確保をしなければ、、、ということでマリーナの申し込み。
今回は横浜ベイサイドマリーナさんにお世話になることにしました。
PC−26の場合、格安のBバースには入りませんので、その上のCバース。
Cバースは陸電が使えるため、ノートパソコンを持ち込み、仕事も出来るぞ、、、と夢は膨らみます。



さて、いよいよPC−26の掃除と補修に入ります。
まず気になったのが、薄汚れたジュータン。
これを引っぺがしてしまおう。
両面テープでかなり協力に貼り付けてあるのを強引に剥ぎ取り、やっとFRP部分が見えました。
カーペットの貼ってあったフロアの部分から2ヶ所船底を覗くハッチがあり、そこを何気なく空けてビックリ。
何とかなり上の方までビルジがタップリ。
舐めてみると塩っぱく無い事から、長年閉ざされていた為、見つかる事のなかった雨水と結露と判断。
ふと気になって入り口近くのハッチもあけてみると、そこにも水が、、、(フラフラ〜)
更にVバース手前のフロア下にもタップリあることが分かり、「これで漂流しても、水不足にはならない」などと口走りつつ、取り合えず放心状態で一服。

ここも水でいっぱい。 この中も水で一杯。
船体の前半分が全部 清水タンク状態。

一服して正気を取り戻した後、早速マリーナ近くの電気屋さんで「洗濯機にフロの水を入れるポンプ」を購入。(980円なり)
「これでビルジを吸い出してやる〜。」と勢いこんで戻ってきて、ポンプの電源をコンセントに差し込み準備完了。
おっと陸電を繋いで無いから、コンセントに電気が来ていない。
陸電を繋ぎにアフターデッキへ行き、陸電のジャックのキャップを外してみたところ、またまた恐ろしいモノを発見してしまった。
何とジャックの形状が最近見たことないような特殊な形をしとります。 
ありゃりゃ、かなり旧式の陸電だな。と言う事で、またまた買い物に出発。
新しいタイプの陸電の口を購入。
約2万円也。
予想外の出費で痛いが、これで陸電はバッチリの筈。
「よし取り付けよう」とコードを引っ張ったところ、、、




ガビーン(死語)
不幸の連鎖反応のようにどんどん問題がヒドクなっているような気が、、、
汚いカーペットをめくったが為にビルジが見つかり、ビルジを抜く為に陸電を使おうとして、陸電が繋がっていないのを見つけてしまい、、、

またまた放心状態で一服。
ズルズルとコードが延びて来る。
「ありゃりゃ、随分コードに余裕があるんだな」と思った途端。
「ズルッ」と抜けてしまった。
何とコードが途中で切断されている、、、、
ちょうどこの場面を打ち合わせの為に船に来ていたボート倶楽部編集部の担当者さんに目撃されてしまった。
穴があったら入りたい。
ああ、ちょうど陸電のジャックを外したところに入れそうな穴が、、、(入れる訳ないって!)
と、一人突っ込みをしたところで本日の作業は終了。

そして翌日。
マリーナに来る途中、ガソリンスタンドで灯油用のポンプを購入。
電動のポンプが欲しかったのだが、手動のものしかないとの事で、「どうにかなるだろう」と手動のポンプを手にマリーナに向かう。
この時はこの後に起きる恐ろしい出来事を予想もせず、元気一杯だったのだが、、、

ポンプの先に5mのホースを付けて、さていよいよポンプで排水開始。
元気にポンプを押す度に、ホースを通って船外にビルジが排水される音が聞こえる。
この勢いなら楽勝、楽勝。

そして、2時間後。
ここ数年経験した事が無いほどパンパンになった右手の筋肉をさすりながら、全く減っていないビルジを呆然と見つめる自分がいた。
見た目には全く水量が減っていない。
減ったのは自分の体力とお腹だけだと言う事実を受け入れられるまで、コーヒーを飲みながら一服。

コーヒーを飲みながら落ち着いて考えると、このまま手動ポンプでくみ出していたら、一年くらいかかりそう。
ここはやはり文明の利器を使わなければと思い直し、どうにか電気を使える状況に持っていかなくてはと頭をひねっていたところ、心強い助っ人が登場。


以前、PC−35を中古艇ドットコムで購入し、更に今回その艇を売却して下さった鎌倉在住の舞台俳優 寺尾さんです。(右の写真)

寺尾さんも新しい艇の(ローニン38フィート)が納艇されたばかりで、毎日マリーナに来られご自分の艇に色々と手を入れておられたのですが、とにかくありとあらゆる道具をお持ちになっており、まるでドラ●モンの4次元ポケットのように、どんな道具でも貸して下さる神様のような方でした。

まずは第一弾として、電気を貸しても貰い、電動ポンプにて排水を開始。
2時間がんばっても、全く減らなかったビルジが、ほんの20分ほどでキレイになくなりました。
寺尾さんのお陰で僕の1年分の仕事が、たった20分で片付きました。

寺尾さん、本当にありがとうございました。

早速次のステップへ。
次は船内の掃除。
積もり積もった汚れをキレイに拭き上げ、操船席後ろのプラスチックの収納ボックスも安っぽいので捨て。
代りにイグロの150Lのクーラーボックス(コストコで8000円ちょっと。造りはかなり雑ですが激安でした)をシート代わりに置いて、上にクッションを。
これだけで随分見違えました。

次にエアコンの室外機カバーの製作です。
当初はご覧のようにペラッペラの樹脂で出来たシートで作られたカバーでしたが、あまりにも安っぽく雰囲気を壊すので、これを木で作り変えました。
かなり苦労しましたが、見栄えは雲泥の差です。
塗装に塗りムラがあるのは愛嬌です。
あくまでも素人仕事ですので、ご勘弁を、、、

こんな感じが→ こんな感じに



次に気になったのがキャビン内のヘッドスペースにある蛍光灯。

あまりにも生活臭くて、、、ちょっと。
でスポットライトに交換。
外した蛍光灯は勿体無いので、Vバース内の外から見えない場所に移設予定。


そして年季の入ったテレビデオを薄型テレビに交換して、DVDデッキと2.1チャンネルスピーカーシステムを付けてみました。


テレビとDVDは一見不安定そうだけど、かなりきちんと固定しているので、荒れた日のクルージングにも耐えると思います。
機械が衝撃で壊れないように、棚の取り付けにはきちんと厚手のスポンジをかましていますし、それぞれの機械の下にはスポンジのシートを敷いてしっかり固定してあるので大丈夫でしょう。


夜になって嫁さんとDVDを見ていると家よりも雰囲気が良く、帰るのが嫌になりそうです。

最後にセキュリティーアラームを取り付けて終了。
アラームに関しては、保安上の問題からインターネット上で、場所を説明出来ませんので悪しからず。
マリーナ内ですので、大丈夫だとは思いますが、転ばぬ先の杖ですからね。

以下が手を入れる前と後の比較写真です。
写真ではあまり違いが分かりませんが、実際はかなり状態が良く快適です。

購入当初の船内 掃除の後の船内

この続きは「PC−26購入顛末記 その2」で書く予定です。
その2では、陸電の取り付け及びコンセントの増設・3バッテリー化などを行う予定ですので乞うご期待。

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